初恋-はつこい-

「あ、菅野さん。

 土屋君が早く来ないか

 待ち遠しかったみたいよ」


玲子がにやつきながら言う。


「そ、そんな事ねぇよ!」


顔を真っ赤にさせながら

勇二が否定する。


真由はうつむきながら

席に座ると、そっと圭輔を見た。


圭輔は私たちの会話に

関心がないのか無表情だ。


「ねぇ香坂くぅん」


もう聞きなれてしまった

玲子の甘ったるい声。


圭輔は玲子の方を見て、

「何」

と冷たくあしらう。