初恋-はつこい-

「あれぇ?

 あれって、

 菅野さんじゃない」


わざとらしく大きな声を出し、

玲子が圭輔の腕を

引っ張りながら近付いてきた。


真由は涙で目を真っ赤にしながら、

ゆっくりと玲子と圭輔を見る。


玲子は人を小ばかにしているのか、

真由の顔を見て笑いながら、

「菅野さん、

 きもだめしで泣いちゃったの?

 んもう、幼いんだからぁ」

と、周囲の人に

聞こえるように言った。


そんな玲子に対して

向かっていったのは、

真由ではなく、勇二だった。