ゆっくりと新幹線が

京都駅を出発する。


……今度来る時は、

観光したいな。


そう思いながら

車窓からの景色を眺めていた。


「真由、よかったね」


隣に座っている花帆が

にっこりと微笑みながら言う。


「ん?」


真由が曖昧な返事をすると

花帆が真由をつつきながら、

「香坂君にちゃんと渡せて」

と真由の耳元で囁いた。