「ただいま、真由」


花帆が勢い良く

部屋のドアを開けて

走り寄ってきた。


「おかえり、花帆」


真由はどこかぎこちない笑顔を

見せながら迎えた。


その表情を見て

花帆がそっと真由の頭を撫でた。


「一人じゃ退屈だったよね。

 真由を置いて

 楽しんできちゃってごめんね」


申し訳なさそうに花帆が言う。


真由はゆっくりと

首を左右に振りながら、

「そんなことないよ。

 私は大丈夫だから」

と花帆に言うと、

花帆は真由の両頬を

手で覆いながら、

「真由ぅー」

と呟いた。