修学旅行に向けて
準備が始まった

もちろん
わたしとみどりは同じ班

『班の代表は
自主研修のルート
をまとめて
提出すること』

先生の声が、教室に響く

わたしたちの班は
ようやく決まった

もう放課後になっていた

みどりと一緒に
職員室に向かう

『先生、遅くなって
ごめんね』

『お前たちの班が
一番最後だぞ』

『ごめんなさーい』

先生はわたしたちの
決めたルートの
書いてある紙を
チェックしていた

わたしはふと
先生の机の上の
飲みかけのマグカップに目をやった

水色のシンプルな
マグカップ

あれ…?

ヒビが入ってる

うっすらと小さな
ヒビが入っていた

『うん。これでいいな。楽しむんだぞ』

『はーい』

たったそれだけ

ただの先生と
生徒としての会話

それ以上を求めている
わけじゃない

だけど、先生の事
知りたくて、無意識に
先生の周りを
詮索してしまう

誰も気付かなそうな
マグカップのヒビを
見付けてしまう
自分がいる

それに、先生と
修学旅行に行けるのが
楽しみでたまらなかった

先生が好き

大好き

でも迷惑はかけないよ

先生にはなるべく
好きを悟られないようにするからね

だから…
このまま好きで
いさせてね