息を上げたまま
先生の部屋のチャイムを押していた

先生は造り笑顔と
明らかにわかる表情で
ドアを開けた




先生と2人きり

いつもの事なのに

先生の雰囲気が
いつもと違う

何なの?

この感覚

いつものように
ソファに並んで座る

いつものように先生が
わたしの手を握る

いつもの事なのに
先生が悲しそうな顔を
しているのはなぜ?

『先生
何かあったの?』

先生の顔を覗き込んだ

さっきまでの
造り笑顔さえ無かった

ようやく先生が
重い口を開いた






『俺、転勤が
決まったんだ…』