「行くよ」

健ちゃんがドアノブに手をかける。
扉の向こう。

「うわっ……!」

私が目にしたモノ。
まんまるのお月さん。
神秘的で……。
幻想的で……。
すごく……。
すごくどきどきした。

「どう? すごいだろ」

「満月! おっき〜!!」

健ちゃんから、素敵なプレゼントをもらった。

「この時間は登りかけだから、大きく見えるんだよ」

調子にのってはしゃぎだす私。
くるくると回り出す。

「見てみて」

くるっと、健ちゃんの方を向く。

「ほら、影がくっきり見える〜!」

嬉しくて、楽しくて、不思議と自然な笑顔が作れた。