「おっとそうだ!」

お父さんが何かを思い出したようだ

「そう言えば、健一君が志穂と話がしたいんだって」

「私と?」

「そう『志穂に話しておきたいことがあるから。俺のとこに来てくれないか?』って、目を覚ましたら伝えてくれ、だとさ。デートの誘いか?」

「違います」

「行くんだろ?」

「そりゃ〜まぁ〜」

何だろう。
健ちゃんが私に話したい事って。
気になる。
胸の中がうずうずする。
どんな話なんだろう?
予想がつかない。
想像がつかない。
見当がつかない。
でも、とっても重要な話だと思う。
何だろう?
何となく分かる。

「私、健ちゃんのとこ行ってくるね」

「おぉー。あっ、それと……」

私はお父さんの話も聞かずに、病室から飛び出した。