ビルの屋上、普段は人がいないそこに1人の少年が柵に肘をついて寄りかかっていた。

「“カミサマのおひざもと”・・・か・・・。
ほんと凄まじい勢いで発展したもんだ・・・。
でも、この街の人たちの、笑顔は見たことがない。」

少年は街に目をむけた。
そこには生気のない人々が忙しそうに、しかし静かに歩いている。
ただ、誰も一言も発しない。

「まるで操り人形だな・・・。みんなカミサマの言われたとおりに行動する。たとえそれが・・・。」

少年は顔を上げ、自分の持っていた剣を見つめた。
剣には自分の嫌いな顔が反射して映っている。

「だれかの命を奪うことでも・・・。」


今は2400年、時代も進歩したもんだ、
病気で死ぬ人はいなくなった、人工臓器ができたからだ。
事故で亡くなる人はいなくなった、人工知能があるからだ。
笑う人はいなくなった、カミサマがあるからだ。
妹はいなくなった、***があったからだ。

<カミサマ>
約150年前に天田 聡一によって作られた人工知能。
10年間に及ぶ戦争を止めた唯一の物。
ただし、現物を見た者はいない。

<妹>
主人公、麻生 ケイスケの妹。
麻生 エミという、ケイスケが小さい時黒服にさらわれた。