「すぐに来てね……今夜は、帰らないでくれる?」


 断れるわけがない。


「かしこまりました、お嬢様」



───着替えをして額を冷やしてやるとお嬢様は、気持ちいい、と目を細めた。

 レモン水を、美味しい、と飲み込み白く細い腕が宙をさ迷う。

 それは、俺の首に回され誘い込まれる。



 火照った身体と、耳元で生み出された熱い吐息。


 頭がおかしくなりそうだ……小娘の分際で俺を誘うなんて百年早い。



「お嬢様、私に抱きついていても熱は下がりませんよ」


「柏原って冷たいのね……」


 首元に甘えたように顔を埋めた彼女。