「なによ、それ!」 起き上がろうとした彼女を押さえつける。両腕を頭上でひとまとめにした。 「彼女は、呪いをかけられたといっても、ただ眠り続けているだけだ。 おまけに、この城には呪いのおかげで誰もが足を踏み入れない。 いわば、私と姫の二人だけの世界…… ……くっ……くく 王子は歪な黒い笑みを押さえきれなくなる。 そっと、姫の手をとると暖かく白磁のような肌に唇を押し当てる」 彼女は、あ、と声をもらした。 「貴女に、選択の余地はない」