執事なんかに任せてられないと、店員は次から次へと露出度の高い水着を勧める。



 どんな素材を使っているのか、どこで製法されたのか、そのデザインがどんななに素晴らしいかを彼女に聞かせ。


 彼女も目を輝かせた。



「よくわかった。でも、私は柏原に選んでもらいたいのよ。トップだけ着てみてもいい?」



「もちろんです、茉莉果様。すぐに準備します」



 フィッティングルームから、店員とお嬢様の和気あいあいとした声が漏れる。




「柏原様、あとはお願いいたします」


 女性店員の意味深な含み笑いを軽く受け流して、短いため息を吐き出した。



「私は、旅行鞄とバカンスウェアを選んで参ります。ごゆーーっくりお決めになってください」



「ありがとうございます」



 余計な気づかいは、いらないのだが……まあ、いい。