「嫌なのよ! だって、柏原と離れ離れになっちゃうもの! 一人で行きたくないっ! 執事の同伴は原則禁止なのよ!」



「お嬢様……女学園の旅行ならば、仕方ありませんよ」



「嫌よ! 柏原が一緒じゃなきゃ嫌なの!」




 予想外だ。お嬢様が泣きながら俺の胸に飛び込んできた。

 甘い香りを漂わせ、小娘は額を押し当てて強く抱きついてくる。両腕に力をこめて彼女を抱き留める。




 可愛いな……いつもこの様に素直でいてくれればいいのにな。