ズルズルと。

引き摺る音が真夜中の学園に響き渡る。

引き摺られているのは木製の棺桶。

遺体を眠らせる、人生最期のベッド。

そのようなものを学び舎たる天神学園で引き摺るなど、不吉極まりない行為。

しかし彼は引き摺る。

鳥肌の立つような漆黒の闇の中、一歩、また一歩、踏み締める度に引き摺られる死人の寝台。

何も知らぬ者が見れば、その姿は異常者か冥府の使いか。

彼は何故、そのような常軌を逸した行動をとるのか。