時間は既に午前1時に差しかかろうとしている。

昼間は多くの友人達もいる1年生のとある教室。

ポツンと。

橘 花音は五所川原を抱き締めたまま、自分の席に座っていた。

当然の事ながら周囲は真っ暗。

こんな暗くなるまで学校に居残っていたのは初めての事だ。

時折風の音なのか、ガタンと物音がして、彼女は身を震わせる。

決して暗い場所は得意ではない。

寧ろ夜中トイレに行きたくなると、二人の兄のどちらかを起こすタイプだ。