「 その顔は覚えてないなぁ…
花梨6歳だもんなぁ。
隣に住んでいんだよ。
これでもダメ? 」


私は6歳の記憶を探していた。

うーん






「 あっ!
思い出した!
いっくん…
いっくんだよね? 」


片品先生の顔が
はぁーっと明るくなった。


「 そう!
花梨は、いっくんと
呼んでくれてたよ。 」


そう言うと
私を抱きしめられていた。

私は懐かしい気持ちになっていた。


帰れる場所な気がした。


「 花梨…
会えなかった10年分を、
今から埋め合わせしないか?
ボクは10年前と変わらず
花梨が大好きだよ。 」


私は胸に包まれたまま


「 いっくん、
10年前のこと思い出せないから…
もう一度、
最初から好きって気持ちを教えてくれますか? 」


「 もちろんだよ! 」


おでこに、
ちゅっ!

そして、くちびるにも。


「 うん?
カリン…? 」


「 あっ!
のど飴さっきまで舐めてたから…
もちろんカリン味ね。
カリン、
おいしいもんね。
甘すぎなくってさ。 」


その言葉に
赤面している私に
一瞬だけ不思議そうな顔して。


「 いつか…
花梨の味も教えてね。 」





end