次の企画会議まで、あと2日。
「あー、もう! 決め手に掛ける! 何か足りない! もっと、みんなが食いつくようなプランにしなきゃ!」
篠原班長は焦っていた。
確かに、これじゃあ、押しが弱いのかもしれない。
でも、だからって、悪い内容じゃないとは思うんだけど。
「俺はこれでいいと思いますけど。それよりプレゼン重視で勝負した方がよくないですか?」
「口八丁で勝っても、企画の内容で負けてたら、商品化したって売り上げには繋がらないでしょうが」
「それはそうですけど」
「見てよ、これ。過去にうちの班と山辺班の企画した商品の売り上げの差。どんなにいいプレゼンしたって、数字は誤魔化せないんだから」
現在、篠原班のメンバーは5名。
不定期で入れ替わることはあっても、基本的には同じメンバーだ。
でもみんな、正直、篠原班長を疎ましく思っているであろうことは、わかっている。
そりゃそうだろう。
どこまでいっても満足しないし、これじゃあ、新人なんかは特に嫌になる。
「休憩しましょうよ、班長。ね? もうお昼だし、一旦落ち着いて、午後にまた再開しましょう」
正午より、5分前。
俺の一言で、ばらける篠原班。
篠原班長はテーブルにうな垂れた。
「社食に行きます? それとも、たまには外? 愚痴なら聞きますよ」
「こんな時まで上司に付き合ってたら、お昼休憩でも息抜きできないでしょ。物好きね、沖野くんも」
「そうかもしれませんね」
嫌味か。
誰のためか考えろっつーの。
この、仕事馬鹿が。


