確かに班長同士だし、いつもすごい企画を持ってくる山辺さんのことを、嫌だと思う篠原班長の気持ちはわかる。
けど、でも、何かもう、それとは別に、篠原班長は、山辺さんそのものを嫌ってるように思える。
何が篠原班長をそうまでさせるのか。
山辺さんは仕事ができる上に、誰にでも平等に優しく、人格的な意味でも素晴らしいと、俺は思うんだけど。
っていうか、少なくとも山辺さんは、篠原班長を嫌ってはいないはずだ。
「篠原が頑張ってるのは、俺も課長もわかってるよ。でも、あんまり無理はしない方がいい。誰かに任せられる仕事まで背負おうとするなよ」
もっと厳密に言えば、山辺さんは、篠原班長に同僚以上の感情を持っているはずだ。
「うるさいなぁ。私が好きでやってることだからいいの。口出さないで。それより忘れ物取りに来ただけなら、早く帰りなさいよ」
刺々しい言葉で吐き捨てる篠原班長。
山辺さんは肩をすくめ、「じゃあ、お疲れ」と、フロアを出て行く。
篠原班長は唇を噛み締めていた。
「沖野くん」
「はい」
「次の企画は、絶対うちの班が取るの。絶対、絶対、私が」
山辺さんが優しいことを言う分だけ、篠原班長のプライドは傷つくらしい。
めんどくさいなぁ、もう。
別に仲よくしろよと言う気はないが、それでも常にそうやって対抗心を剥き出しにしてたら、疲れるだろうに。
「飲み物、買ってきますよ。班長、いつものコーヒーでいいですよね」
俺は席を立った。
山辺さんは悪い人じゃないと思いますけど。
と、言おうと思ったけれど、そんなのきっと、篠原班長自身が一番わかってることだと思うから。
それがちょっと、俺には悔しく思えてしまって。
だって俺の勝機は今のところ、どこにもない。
それどころか、篠原班長は、よくも悪くも山辺さんしか見ていないのだ。
けど、でも、何かもう、それとは別に、篠原班長は、山辺さんそのものを嫌ってるように思える。
何が篠原班長をそうまでさせるのか。
山辺さんは仕事ができる上に、誰にでも平等に優しく、人格的な意味でも素晴らしいと、俺は思うんだけど。
っていうか、少なくとも山辺さんは、篠原班長を嫌ってはいないはずだ。
「篠原が頑張ってるのは、俺も課長もわかってるよ。でも、あんまり無理はしない方がいい。誰かに任せられる仕事まで背負おうとするなよ」
もっと厳密に言えば、山辺さんは、篠原班長に同僚以上の感情を持っているはずだ。
「うるさいなぁ。私が好きでやってることだからいいの。口出さないで。それより忘れ物取りに来ただけなら、早く帰りなさいよ」
刺々しい言葉で吐き捨てる篠原班長。
山辺さんは肩をすくめ、「じゃあ、お疲れ」と、フロアを出て行く。
篠原班長は唇を噛み締めていた。
「沖野くん」
「はい」
「次の企画は、絶対うちの班が取るの。絶対、絶対、私が」
山辺さんが優しいことを言う分だけ、篠原班長のプライドは傷つくらしい。
めんどくさいなぁ、もう。
別に仲よくしろよと言う気はないが、それでも常にそうやって対抗心を剥き出しにしてたら、疲れるだろうに。
「飲み物、買ってきますよ。班長、いつものコーヒーでいいですよね」
俺は席を立った。
山辺さんは悪い人じゃないと思いますけど。
と、言おうと思ったけれど、そんなのきっと、篠原班長自身が一番わかってることだと思うから。
それがちょっと、俺には悔しく思えてしまって。
だって俺の勝機は今のところ、どこにもない。
それどころか、篠原班長は、よくも悪くも山辺さんしか見ていないのだ。


