お前にとって宝物なら
俺にとってもそうだと


あなたはそう言って


だから
あいつを不幸には
して欲しくはないと
私に息子を託した


そんな思いを
私は知らずに
今まで過ごしてきた


10年ぶりに開封した
私あてのあなたからの手紙


お前の苦しみを
知らずにいた
許して欲しいと


そして


一度でいいから
もう少し時間が
欲しかったと


あの日の約束は
果たすつもりでいたのだと
そう記してあった


私は
待てなかった


あなたの言葉を
信じられなかった


こんなすれ違いが
あったことを


10年たって知るなんて…