「今日、午前授業だけだし、終わったらすぐに帰ってよく寝てね?」
「…おう。」
龍雅はダルそうに答えると、机にうつ伏せた。
本当に体調が悪いみたいで、休み時間のほとんどを寝て過ごしていた。
その日、授業が終わって学校を出て私と茉智ちゃん。
羽柴くんと龍雅に別れて家路につく。
「ほな、また明日な!気いつけて帰るんやで!!」
「うん、ありがとう。」
「…何かあったら、すぐ連絡しろよ…」
「はいはい。あんたはよく寝なさいよ。」
「早く風邪治してね。」
「あぁ…気をつけて帰れよ。」
ぽんっ、と頭に乗せられた手はいつも以上に温かくて、少し弱くて、思わず龍雅の頭を撫でた。
「龍雅も気をつけて帰れよ!」
「……それ、俺のまね?」
「あはは!!りま、可愛ええなぁ!」
「似てる似てる!!」
「ったく…じゃあ、またな。」
そう言って、私達は別れた。
まさか、その時誰かにつけられてるなんて、思ってもみなかった。



