−−放課後−−




私が千昭君を見つけたその時、千昭君がこっちを見てきた


何も考える事ができず、思わず目そらしてしまった

その時!

誰かに手を引っ張られた

千昭君だった

すごい勢い!

引っ張られている手が痛い

思わず
「痛い」
とつぶやいてしまった

千昭君は止まった

けれど、私はそのまま千昭君に抱き着いた。

そして、そのままのキモチを言った

「なんで?
なんでしゃべってくれなかったの?
なんで見つめてくれなかったの?
なんで!好きって言ってくれないの!………

−−……き…
好き…………
好きなの…………
好きなの!」

私はいっそう千昭君を抱きしめた

世界で一番涙が止まらない
世界で一番恥ずかしい

世界で一番こわい

世界で一番………

その時!

私が抱きしめていた手がほどけ、
千昭君が私にキスをした

私の心はもう
千昭君の物でしかない

もうない
ないよ
欲しいものなんてない
聞かせて
あなたの口から
好きって…
千昭君の声が響いた
心に

「好きだよ。栞」