逃げ出そうとはしない刹那の甘い唇を、もっと身近に感じたかった。




けれど人生そんな簡単にはいかなくて、刹那を引っ張って行こうと思ったその瞬間、闇夜を大輪の花火が彩った。




「ハート型か」
「夕俟様のように、美しうございまする」




そんな可愛いことを言う刹那を抱き寄せ、俺は焦らしていた答えをその耳元に囁いた。