「夕俟様、夏乃?何故参られた」
「無知なお嬢様に恋を知って貰うため?」
「下がりなさいませ、童の戦は童が終わらそうぞ」



一方的にまくし立て、小さい一歩を踏み出すあたし。
そうしてあたしは、西舘くんの唇を奪って見せた。
強引に淫らに。




それを見て、痛そうに顔を背けたのは夏乃だけじゃなかった。
喧嘩に負けたヤンキーの如き、凍てつく睨みは、あたしの心に刃となり突き刺さる。




「おい、男。俺を本気にさせたこと、後悔しろよ」
「え?」