豊浦組の組長が焦りに焦るその横で誰よりも無表情の少女が1人。この辺り一帯で名高いヤクザ組長と肩を並べて歩く夏乃は、無表情なのにだれが見ても膨れていた。




「夕俟兄様」
「…ンだ?」
「もし見つけたら…刹那姉サンを愛するの?どんなに痛々しくて、姉サンが隠したい傷を持っていたとしても?どんな姉サンも愛すると誓えるの?」




夏乃の言葉に俺は足を止めた。
『どんな姉サンも愛すると誓えるの?』だなんて聞かれて、俺は厄介な来訪者に気付いてしまった。




この先何があっても刹那を嫌いにはなれない、と。