それでもそれを許さないのは単なるエゴか、理想か。
あたしには解らなかったけど、神崎さんなら答えをくれるような気はした。




「ありがとう、獄瀬さん」
「姉サン?」
「助けに来てくれて、嬉しかったの、本当は。だから…ありがと」




頬を一筋の涙が通過する。
本当は痛いほど解っている。
今一人で家に帰るのは無謀だ、と。




「ばいばい」
「ちょ…刹那の姉サン!」




あたしは最高級の笑顔をその場に残し、逃げるように走りだした。