「ねぇ、ちょっと待って。今から家に戻るの?刹那の姉サンは家出した扱いされてるのよ。“ヤクザに拉致られてヤられた”なんて誰も信じないわよ!夕俟兄様に連絡して本当のこと、家族に解ってもらったほが…」




倉庫を抜け出して少したった頃、夏乃が携帯を取り出しながらあたしに告げた。
チャンスだと確信したあたしは夏乃の携帯を宙に蹴りあげた。




「ヤクザを頼り申したら何も違わぬ。汚れた女子なぞ意味を成さぬわ」
「姉サン…」




また痛そうな、辛そうな表情になる。
本当は今こそ温もりが欲しいし、薔薇の刺に抱かれたい。