「男のほうですか?ってお前男じゃねぇの?」
「女子です。失礼な」
「わりぃ、わりぃ」




絶対に悪いとは思っていなさそうなヤクザの態度。
正直イラッとする。
“どうせこの人もあたしに堕ちないのなら、いっそ時代がかった話し方で会話してやるわ”
嫌がらせ的な考えが頭を支配し、あたしは結局、その考えに従うことにした。




ヤクザは西館くんをあたしから無理やりに引き離すとあたしの手を取った。
何をするのかと身構えたあたしに構わず、ヤクザは言い放つ。




「逃げるぞ、女」