あたし、宮星刹那[ミヤホシセツナ]は今凄く必死になっていた。
そもそもの始まりは2週間前。




あたしはクラスメイトたちと巡検の授業で日本銀行の貨幣博物館に向かっていた。
あたしの通う美園大学文学部文化財学科は歴史オタクたちが集う、面白い場所だ。
個性豊かなメンツと絡むのは楽しい。




「ねぇ、綾ちゃんのどこが好きなの?」
あたしはいつもと違わぬテンションでクラスメイトの秋元智樹[アキモトトモキ]に尋ねる。




秋元くんはあたしの一番仲の良いクラスメイト、涼原綾[スズハラアヤ]の彼氏さんで照れ顔がクラスの誰よりも可愛い。
あたしはその顔がツボで、秋元くんを照れさせて遊ぶのが日課だ。