「なんで……今なんだよ」 あたしはシキの胸ぐらを掴む。 困惑が彼の目を染めた。 あたしは唇を噛んだ。 ――分かってる 分かっているんだ。 シキにこんなことしても意味ないことくらい。 「京」 俯いているあたしの上の方から、声が降ってくる。 とても、悲しげな。 「ごめんな」 「……な…んの…」 なんでだ。 声が震える。 なんのごめんだ。