「これから自己紹介を始めます。んじゃ、一番の人から…」

桜が咲く校庭を眺めながら、担任の話を聞いていた。笑顔ではきはきと話す"かわいい"感じの先生は、男子生徒の話のネタになっていた。
だが、僕にはそんなことよりも、朝の彼女のことが気になって仕方がない。
いわゆる"一目惚れ"をした僕は、彼女のことで頭がいっぱいだった。
名前も知らない彼女が、何年生でどこのクラスで、名前はなんていうのか、どんな性格なのか……
答えない問いを、考え続けていた。