父の部屋へ入る前、何度も思った。 ここでいきなり強盗が現れて私を殺してくれないかなと。 でも人生がそんな思い通りに出来ている訳もない。 いつものように私は、父の寝室の扉をゆっくりと開けて中に入った。 ああ‥気持ち悪い。 愛欲と独占欲にまみれた父の視線が絡みついてくる。 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。 意味もなく心の中で謝ることに意味が無いことは分かっていた。 ただ、それを心の中で唱えたらこの現状を回避できるような気がしていたんだ。 .