重なった素肌



「ただいま‥。」


学校から帰った私はいつも通りに、父の寝室に震える足で向かう。


母親はスナックを経営していて、そのスナックで知り合った男と付き合っている。そのため家にはほとんど寄り付かない。


たまに家に帰ってきては生活費やお小遣いをテーブルの上に置いてまた家を出て行く。


そんな生活にも慣れていたけど、いま父の部屋へ向かう私の心は死ぬほど痛んでいた。


しょうがないんだと言い聞かせても心と体は拒否していた。



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