「さて、最後は遥だね」


さっきまでのしんみりはどこへやら。

しーちゃんがものすっごく愉しそうな、それでいてものすっごく意地悪そうな笑顔を浮かべてハルちゃんに迫った。


“こんなに真剣な僕らを差し置いて彼氏の座を射止めたんだから、納得いく答えを聞かせてもらえるよね?”って副音声が聞こえてきそうだよ。

僕も気になるけど、しーちゃんの目が怖いよ。



「え、笑顔……」


困った顔をしながらハルちゃんがごにょごにょと歯切れの悪く喋る。


「よく聞こえないよ?☆」



「失礼しまーす!」


ガチャッ。


何て言ったのかほとんど聞き取れなくて聞き返した途端、見計らったようなタイミングで楽屋のドアが開いた。


「緑川さん、桃山さん、青樹さん、斎賀さん。スタジオ入りお願いします」


スタジオの準備が整って、スタッフさんが呼びに来てくれたみたい。

僕たちにとったら悪いタイミングだけど、ハルちゃんにとっては渡りに舟。


「おい、行くぞ!」

「あ、待ってよー!!ハルちゃんずるい☆」

「話は終わってないよ」

「……気になる」


いそいそと逃げるハルちゃんの背中を僕、しーちゃん、セイくんの順で追って出ていき、楽屋は静まり返った。



おしまい☆