いきなり滝川くんが逆ギレしたかと思ったら、急に強い力で腕を引っ張られた。
温かいものに体を包まれる。
そして次には、頭を優しくなでられた。
「え、ちょっと……」
な、なんなの、この状況……。
滝川くんに抱きしめられて、頭をなでられて……。
離してもらおうと、グッと滝川くんの胸を押してみるけど、ビクともしないどころか、さらに強く抱きしめられた。
「だまってろ。はやく泣きやめ」
「泣きやめって……」
だれが泣かしたと思って……。
だけど命令口調とは裏腹に、滝川くんはあたしの頭を優しくなで続けている。
あたしは子どもじゃない。
そう言いたい。
そう言って逃げたいのに、なぜか逃げたくないよう、心地いい感覚……。


