そう言って朝輝先輩は右手を出した。
これって……握手、だよね。
「は、はい。でも朝輝先輩って呼ばせてもらいます……」
先輩だし、呼び捨てはちょっと気が引けるし。
そして、あたしも朝輝先輩に手を差し出した途端……。
「さわんな」
本来なら朝輝先輩が握るはずだった手が、滝川くんに握られてしまった。
「ちょっ……」
「俊、にらむなよー。わかったから」
朝輝先輩はなぜんか滝川くんを見てニヤニヤしている。
「俺、俊が女子と一緒にいるとこ初めて見たわ。キミ、乃愛ちゃんでしょ?」
そう言ってあたしの前に来たのは、黒髪で笑うとえくぼができるかわいい感じの人。
「あ、はい……」


