あたしは名前を教えてない。
なのに……なんで知ってるの?
「……さぁ、なんでだろうな?」
滝川くんはしらばらくあたしを見つめた後、理由を教えてくれず、代わりに意味深な笑みを見せてきた。
「な、なにそれ!いいじゃん、教えてくれたって!もったいぶらないでよ!」
ムッとして詰め寄ると、滝川くんはズイッとあたしの顔に自分の顔を近づけた。
「そんなに知りたい?」
うっ……美形……。
目の前にある滝川くんの顔は“きれい”や“かっこいい”という言葉がピッタリ。
もし滝川くんが女だったら、きっと絶世の美少女だろう。
……な、なんかむかつく。
またもやムッとしながらも、つい滝川くんに見とれてしまっていると……。
「おい、シカトすんな。知りたくねぇの?」