「うっ……」
「ダメ、かな?」
合わせた手の横から顔をのぞかせて、かわいくお願いする太陽くんを見て、あたしはなんだか悪いことをしている気分。
「で、でも……あたし、滝川くんの家知らないから」
そ、そうだよ!
あたし、滝川くんの家知らないんだった。
「あぁ、それならだいじょうぶ!地図書いてきたから!てか、すぐに分かるよ俊の家。学校から歩いて10分くらいだし」
そう言いながら、太陽くんはカバンの中からプリントと一緒にメモ帳に書かれた地図を出した。
なんて準備がいいの。
これは最初からあたしに行かせる気だったな……。


