それが恵梨さんみたいにきれいで、気さくな人だったらなおさら。



でも……好きな人がいるのに、なんであたしにキスしたの?



「あ、あたし、教室戻るね」



これ以上、仲のいいふたりを見ていたくなくて、あたしはそう告げた。



「えっ、もう?もうちょっと話そうよ!ね、俊?」



恵梨さんが慌ててあたしを引き止める。



「お前は黙ってろよ」



「……ごめん、あたし用事思い出しちゃって」



「あ!乃愛ちゃん!」



すぐにウソだってわかるような言い訳を残し、恵梨さんが呼ぶのも無視してあたしはその場から走り去った。



あたしはあそこにいないほうがいい。



滝川くんは恵梨さんと一緒にいたいだろうし。



だったら、ジャマだ、あたし……。