「お誕生日プレゼント」



恭次は、あたしの産まれた日になった瞬間そう言った。

夜空に向かって両手をいっぱいに広げ、無数の星々を抱えて。


「わぁ…」


視界に入りきらない程の煌めく光りの粒…


それはすっごく綺麗で…



「ほらね♪夜は怖いもんなんかじゃないんだよ」



あれだけ苦手な暗い世界も…


隣にあなたを感じたその瞬間、ほんのり煌めきを担った。



この手があれば何も怖くない。



5歳のあたしは素直に迷うことなく、そう思ったんだ。



目の前に散りばめられた宝石がキラキラしている。



きっと…


何にもわからない小さな頃から…



あたしはずっと…




今でも時折、思い出すの…



あんなに純粋だったのに

あの頃の自分はどこに行ってしまったんだろう。

あの頃のままだったら…

何か違っていたのかな…


窓から見上げた空は、どれだけ光っていようとも、あの日以上の星空を見せてくれることはなかった。