高校まで私は、物静かで休み時間も一人席で本を読んでいた。

別に嫌ではなかった。

いじめられはしないし、成績は学年でもトップクラス。
運動神経も悪くはない。
ただ、変な絡みが苦手なあたしはただ人との交流を避けていただけだった。


でも、そんなあたしにも好きな人はいた。
最初は憧れてただけだった。みんなの前でキラキラ輝いてる彼が正直うらやましかったのかもしれない。表に出ず本ばっかり読んでた自分とは正反対のその人を。



中学校最後の卒業式の日。
自分の思いを伝えるだけでもと思い、人生で一番の勇気を振り絞って私は告白をした。
ただ、本当に気持ちを伝えるだけでよかった。
深くまでは考えていなかった。でも、あたしの憧れていた、あの人は、笑いながらこう言ったのだ。



「別に勘違いとかすごい困るんだけど。俺真面目な本ばっか読んでる子なんか好きじゃないんだよね、周りの子への点数稼ぎだったの…本当困る。」

…私はしばらくその場から動けなかった。
私の憧れていた人が、キラキラした笑顔のあの人が、そんなことを言うなんて。
悲しい気持ちと悔しい気持ちでぐちゃぐちゃになった私は、その場で泣いてしまった。