いったい何が起きたのだ?
今、私は何か聞いたのか?
もう、この扉を押して中に入らねばならんのだぞ?
さぁ、手をかけて押すのだ。
足を動かして前へ進むのだ!
と、脳に命令しても体は全く動かない。
頭の中は、いったい家に戻ると何が待っているのだろうかということでいっぱいだ。
そのとき、目の前の扉がゆっくりと開いた。
「・・・!?」
「姫乃、入れよ。んなところで突っ立っててもどうにもなんないだろ?」
「う、うるさいわね!!」
はっ!しまった・・・。あぁ・・・最悪だ。
教室の中では皆がこのS男、薫と私を凝視している。
後ろの方ではなにやら話声もする。
「またお二人さんが喧嘩してら。」
「仲いいよね、あの二人。美男美女っていいな~。」
「やっぱり付き合ってるのかな?」
「当たり前だろ。いつも一緒にいるんだぜ?」
これはいかん。何かとんでもない雰囲気になりつつある・・・。
「こら、櫻井と鬼城、早く席に着きなさい。仲良くするなら後にしなさい。」
「付き合ってなんかいない!」
「そんなこと聞いてないぞ。」
「・・・・・・」
しまった~。これで終わった・・・。


