「姫乃。」


静かな空間に、薫の声が響く。


「え?」


「俺はずっと知ってた。姫乃のこと。すごい家のお嬢様だってこと。すごいお嬢様の集う学園に通っていること。それから・・・」


「なんだ?」


「すげぇかわいいこと。」


胸の内が締め付けられるようにキュッとなった。
でも、その締め付けは全然苦しくなどなくて―――


「わぁー、俺すげぇ恥ずかしい。で、姫乃は?言いたいこと早く言えよ。」


「い、」


言えるかぁぁぁぁぁ!


「言わないのはなしな。」

「くっ」


「俺に頼みたいこと、言ってみ?」

「鬼か」
「悪魔です」

「Sか」
「ドSです」


「だろうな」
「そうだけど」

「・・・・・・」


「早く言えよ」


どうやら私は―――


「姫乃」

とんでもない人を―――


「姫乃?」


「私と付き合ってく、ださぃ・・・」




好きになってしまったようだ。