部屋に入ろうとして、あるものに目がとまった。
それは隣の部屋のドア。
そのドアは大ホールの扉。
そういえば最近大ホールで絵を描いていない。
いつから描いていないのだろうか。
「ほこりまみれになっているかもしれないな。」
そう思い、自分の部屋ではなく、隣の大ホールの扉へ手をかけた。
そして、その扉を―――あの日ぶりに開けたのだ―――
目に飛び込んできた風景。
それは―――あの日のままの風景。
あの日からこの部屋の時間は全く動いていなかった。
「こ、これ、は・・・」
びりびりに破られた絵―――
ぐちゃぐちゃになってしまったその部屋―――
絵の具のにおいが漂うその部屋、大ホール―――
ここはかつての私の大切な場所だったところ―――
その部屋に足を踏み入れる。
床に散乱している絵の間を縫うようにして、私はある場所へ向かっていた。
それは、この大ホールの奥の奥の、ずっと奥の―――
立ち止まった場所には一枚の絵があった。
その絵はまるで私に見られたくないというように壁側に向いていた。
その絵を裏返せば自分の方へ『あの絵』が現れる。
そう、『あの絵』が。
美術の授業で私は何も描かなかった。


