背に吹き抜けるは君の風


「悠人君、今日もかっこいい…」

カワイイ顔して、悠人を見つめるあたしの隣の人。

「愛(あい)はいっつも言ってるな」

「さっきもさ、ミナが笑われてる時、さらっと助けてあげたじゃん!」

はぁーかっこいい、と机に突っ伏す愛。

「ミナはいつも悠人君にかまわれていいなぁ…」

「あれはねぇ、バカにされてんだよっ」

「そういえばさ、愛、バスケ部のキャプテン、フったんだって?」

足を組みながらケータイをいじって、こっちを見ないまま紗江(さえ)は言う。

「またかよっ」

「だってぇすごい束縛してくるからー別れちゃった。」

「何人目だよもぉーそのモテ運、あたしにくれっ」

愛はモテる。

なぜなら、スタイル抜群で、顔が超カワイイからだ。

女のあたしでも羨むくらいの二重に、ほっそい手足。そのうえ長いし、出るとこはちゃんと出てる。

「ウチは彼氏いるからそのモテ運、いらんわー」

「紗江はリアル充実してますね…」

紗江は大学生と付き合っている。

整っていて気品のある顔立ち、甘い感じのする瞳、紗江の彼氏にはもったいない。

(本当にこの毒舌女王様のどこがいいですかね…)