背に吹き抜けるは君の風


「な、なんで?」

やけに緊張して、声が少し震える。

「愛の友だちならさ、仲良くなりたいから?」

「わかったよ」

あたしはついつい、勢いで答えてしまった。

(悠人に、ちょっとしたことで目くじらたてて言い争うって、思われたくないし……)

そう言うと、悠人の弟はニッコリ笑った。

「おい、美南」

(あのねぇ、あんたがカッコいいのは認めるけど、あたしのことを名前で呼ぶなっ!
名前で呼んでいいのは、友達だけだよ。
あんたとは、ちがうもん!)

「また会おうぜ」

すっごく魅力的な笑顔を残して悠人の弟は走り去った。