背に吹き抜けるは君の風


「洸太?なんでいるの?」

「あ、愛!よっ!」

愛が戸惑いながら、悠人の弟に近づいていく。

(……愛の知り合い?)

悠人の弟の隣に立つと、あたし達に手を向けた。

「2人は私の親友。左が高科 紗江で、右が綾代 美南。みんなからはミナって呼ばれてるけど」

悠人の弟は、まっすぐに、じいっとあたしを見つめた。

きれいなその目は、とても真剣だった。

あたしは、なにがなんだかわからなくて、アタフタしてしまった。

(急に、なんなのよ……)

「おまえさ」

そう言いながら悠人の弟は、一歩、あたしとの間の距離をつめた。

もともと近くにいたから、そんなふうにすると、もうあたしたちの間は5センチも空いてなかった。

そこからあたしをじっと見て、こう言った。

「俺の印象、いま、すごく悪くなったか?」

(あっ、たりまえでしょうがっ! )

「困ったな。それ、忘れてくれない?」

きれいな目に、すぐ近くからのぞきこまれて、あたしは息が止まりそうになった。

ドキッとするほど、きれい。

いままで見たこともないほど、あざやかで。

(どうしてこんなにきれいな目なんだろう……)