背に吹き抜けるは君の風


教室に近づくと、ギャーギャー喚き声が聞こえてきた。

「なんで謝んねぇといけないんだよ!」

「お前が迷惑かけたからだろうがっ」

よく見ると悠人が廊下で騒いでいる。

(大声出すなんて、めずらしい…)

悠人はふっと顔を上げて、こっちを見た。

「あ、美南。」

隣に居た圭祐が、ブンブン全力でこっちのほうに手を振っている。

それに対して片手をあげて応えた。

「ほら。謝りなさい!」

悠人がお母さんに見えてきた。

言うならば、お父さんか。

(出たっ悠人のお母さん節!)

「ふざけんなっ」

そう言いながら悠人と圭祐の間から姿をあらわしたのは、あたしの知らない男の子だった。

背はそれほど高くなくて、中くらいだけど、スタイルはとても良かった。

すごく印象的だったのは、その目。

クセのないサラサラの前髪の間から、まつ毛の長い、すごくきれいなキリッとした目が、こちらを見ていた。

リンとした感じの光がきらめいていて、いままで見たこともないほどあざやかだった。