本当に、いつのまに春は終わったのだろう。
不思議だ。
毎年毎年知らないうちに6月になっている。
こうやって、過ぎてからじゃないと気付けないんだ。
「愛、いま彼氏は?」
「いるよー1年の剣道部!」
「ついに年下にまで手を出したのかっ」
そう話している間にも、しとしとと、雨は無理続けている。
「雨の日ってさあ、なんか、色んなこと思い出すんだよね。ウチだけかもしれないけど。例えばさ、修学旅行のこととか」
紗江が突然ぽつりとつぶやいた。
分厚い灰色の雲に隠された太陽は、白い光だけわずかに降らせている。
そんな景色を見ながら、あたしが最後にこう付け加えた。
「忘れられない、思い出とか」

