(そんな生徒がいたのか。)
思いを巡らせていると、鈴木先生はどこか嬉しそうに話を続けた。
「CDを貸すのは、来週の火曜日になるけど、それでもいいかな?まだ聴かせてないクラスがあってね」
「あ、はい。大丈夫です。ありがとうございます」
あたしはぺこっと頭を下げると、慌てて教室のほうへ戻って行った。
「用事済ませた?」
「お。待っててくれたの?ありがとー」
「いえいえー」
音楽室を出たすぐとこで、紗江と愛が待っていてくれた。
2人は、あたしが鈴木先生に何を聞きに行ったのかは質問せずに、そのまま教室へと歩き出した。
(こういうところ、本当に助かるな。)
上履きの足跡で真っ白になった廊下を歩きながら、なんとなく窓の外を見ると、小雨が降っていた。
どうりで雲行きがあやしかった訳だ。
「私、雨きらーい。いつのまに春って終わったの?」
「あ、そういえばもうすぐ梅雨だよね」
「雨嫌いー!」

