背に吹き抜けるは君の風


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そんな不思議な現象が続きながらも、毎日はゆっくりと過ぎていった。

穏やかすぎてあくびがでるほど、平凡な日常。

泣くこともなければ、怒ることもない。

そんな風にぼんやりしていると、突然激しいピアノの音が全身を襲った。

そこでガバッと起き上がったあたしは、今、音楽の授業中だということを思い出した。

一体いつのまに寝ていたのだろうか。

「おはよう、ミナ」

「お、おはようございます」

「よく寝てたねー」

そう言ってにこっと微笑んだのは、滝本 圭祐(たきもとけいすけ)だ。

去年も同じクラスだったけど。

いっつも明るくて面白い、クラスのムードメーカー的存在。

髪の毛の色の変化は凄まじく、今はオレンジに近い色だ。

そんな圭祐はあたしのほうに机を少し近付けて、先生のほうを指差した。

「見ろよ、鈴木の奴。さっきからずっと目ぇつむりながら指揮とってんの。そしたら生徒は居眠りし放題じゃんなあ」

「あ、本当だ。皆寝てる」